他院でのHIFU(ハイフ)治療のトラブル報道について

先日、某美容外科クリニックでHIFU(ハイフ)治療を受けて合併症(ヤケド)を生じ、そのことで家宅捜索を受けたとの報道がされ、少し話題になりました。

今回、家宅捜索(=刑事事件化)されたということに驚いたというのが正直な感想ですが、こういった事例は、問題視される事があるのでは、と危惧はしていました。

まず、勘違いされている面もあるのですが、問題視(=刑事事件)されていることは、合併症(ヤケド)を生じたことではありません。医療というものは、ある意味合併症がつきもので、合併症を生じたことのみで、刑事事件扱いにはならないのです(重大な過失があれば別ですが)。
問題視されたのは、HIFU(ハイフ)治療を医師ではなく、看護師が行って、合併症を生じたという行為についてです。

原則論では、医療行為は、医師のみが許されています。しかしながら、医師が全ての医療行為を行うというのは、時間の制約もあり、現実的には不可能です。そのため、資格をもっている方(例えば、看護師、放射線技師、など)に医療行為の一部を医師の監督下で行うことが許されています。このどこまでの医療行為が許されるか、ということが、実はグレーゾーンなのです。
どちらかというと慣習的に許されているから、このあたりまでは大丈夫だろう、ということで運用されていると言っていいかもしれません。

今回のHIFU治療の件で問題になったのは、
1)HIFUの機器を使用したタルミ治療は、医療行為である
2)看護師が単独で医療行為(HIFU治療)を行った
3)HIFU治療に際して、医師が同席しておらず、医師の監督下に行っていないのではないか(医師の監督下なら、まだ許されるが)

ということです。つまり合併症を生じたことが問題のように思われがちですが、合併症の有無ではなく、行為そのものが問題になっています。

美容外科では、他科に比べて看護師が医療行為を行っているケースが多いように思います。特に機器類~光治療器(フォト)、高周波(RF)、焦点式超音波(HIFU)、レーザー類 等 ~について、看護師が代行しているクリニックも少なくないように見受けられます。

個人的には、これらの医療機器を医師以外が行う事は、例え医師の監督下であったとしても、法的に問題が無いとしても、あまりお勧めできないという考えです。

これらの機器類は、操作方法などを教えれば、医学的知識がなくても、誰もが出来ることだと思います。だから、クリニックによっては、看護師に任せてよいのだという考えがあるのでしょう。しかし大事なことは、トラブルが無いことはもちろんですが、その機器を用いて最大限の効果を引き出す事だと思います。

医療機器の効果を最大限に引き出すというのは、実は簡単ではありません。機器の知識・設定はもちろんのこと、解剖や美容外科、皮膚科、形成外科に関する知識も要求されます。また、その機器を使った結果を考察し、次の治療につなげるという経験も非常に重要です。
これらのことが、人任せ(=看護師)にしてできるのか、ということが疑問に思い、当院では機器類の治療は(レーザー脱毛は除いて)自分自身が行っています。実際、他院で看護師任せだったという治療を私自身が行い、全く(効果が)違う、という声も聞かれます。

Aという機器とBという機器とどちらが優れていますか、とSNSなどでの質問を目にします。しかし、そもそも、それらの機器の性能をきっちりと引き出せているクリニックが、どれほどあるのか、はなはだ疑問で、機械を使いこなせていないなら比較のしようがないと思いますし、医療機器というのは、誰が使っても効果や合併症は同じではないのです。
ですから、看護師は言うまでもなく、医師自身が行ったとしても、クリニックによって差があると言えますし、美容治療というのは、機械ありきの考え方は、ある意味危険と言えます。
クリニックを選ぶ時、少なくとも医師自身が治療を行っているかどうか、また、その医師がどの様な医師であるか(経歴や知識など)を注意する必要があると思います。

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