にきび治療について~治療方針

今回、ニキビ治療について述べたいと思います。
私自身は、Journal of the American Academy of Dermatology(JAAD)~アメリカ皮膚科学会誌並びに日本皮膚科学会のガイドラインを参考に、以下のような順に治療を行っています(場合により順番が前後することはあります)。

(1)アダパレン(ディフェリンなど)、過酸化ベンゾイル(ベピオ)の外用治療、場合により抗生物質外用も併用
基本的に上記をキッチリと行っていくと、ほとんどの方が軽快していきます。ただし、外用を中途半端に行ったり、すぐに中断すると再発が容易に起こりますので、徹底して行う必要があります。
皮膚の反応(発赤、肌が剥ける、刺激感など)を生じるのが必発なので、保湿剤を併用することもあります。また、重度のニキビの方の場合、刺激性が強く使えない場合がありますので、その場合は、抗生物質の内服を併用することも有効です。ただし、抗生物質は耐性化の問題もありますので、単独で使用することは推奨されません。
この方法は、健康保険が認められている方法であり、かつ推奨度も高いので、最優先で行うべきと考えます。(1)が有効で無く、ニキビがコントロール困難な方の場合、以下の健康保険外治療を考慮します。

(2)ケミカルピーリング
薬品を塗布し、不要な皮膚を剥離し、皮膚の代謝をあげることにより、ニキビを改善する方法です。ニキビには、グリコール酸やサリチル酸のような比較的おとなしめのピーリングが使用され、特に近年では、サリチル酸マクロゴールが副作用が少なく、多用されるようになっています。当院でも、ニキビ治療にはサリチル酸マクロゴールを使用しています。

(3)抗アンドロゲン療法
男性ホルモン(アンドロゲン)がニキビに関与していることは知られており、アンドロゲンには皮脂の分泌を盛んにする作用があり、これがニキビの要因になると考えられています。
スピロノラクトンは、昔から使用されている利尿薬(利尿作用は少ない)なのですが、アンドロゲンを抑制する作用があることが分かっており、この薬を内服することで、アンドロゲンを抑制し、皮脂の分泌を抑えることでニキビを改善する方法です。実際、内服すると、皮脂のてかりが抑えられ、べたつきがなくなったという声が多いです。
アンドロゲンを抑えるために、男性に使用することはできません。

(4)イソトレチノイン内服(アキュテイン)
ビタミンA類には、皮脂の分泌を抑え、皮膚の代謝を上げる作用があることが分かっています。イソトレチノインは、ビタミンA類で、皮脂の分泌を抑え、皮膚の代謝を上げることにより、ニキビを強力に抑えます。かなり重度の方でも有効性が高く、その意味ではよい方法なのですが、要注意な合併症があるために、安易に使用することはできない欠点があります。
最も問題なのは、催奇形性(奇形児のリスクが上がる)があることです。そのため、治療中の避妊は絶対であり、必ず、医師の監督下で行う必要があります。

杉本 庸

私達は 丁寧な診察 治療説明を行うよう心がけております。
美容治療はコミュニケーションが重要です。
不安な気持ちを解消しないまま治療を受けると
不満の残る結果を招きます。
私達は 治療のみでなく カウンセリングにも
充分な時間をかけるようにしております。