現在、美容を始めとする自費診療でダイエット目的に、GLP-1受容体作動薬(マンジェロなど)やSGLT2阻害薬(スーグラ、フォシーガなど)などの糖尿病薬が使用されています。
はたして、これらを使用することは適切でしょうか。
GLP-1受容体作動薬のダイエット効果ですが、薬による差はあるものの、公式に認められています。食欲の抑制(脳の視床下部への作用)、胃の排出遅延(胃から腸への食物移動を遅延させることで、血糖を抑え、満腹感を長続きさせる)、脂肪燃焼作用などによりダイエット効果を発揮します。
一方SGLT阻害薬は、尿から糖を排出することで、血糖コントロールを行う薬で、糖を排出することから直接カロリーをカットする効果(1日240ー400Kcal)により、ダイエット効果を得ることが出来ます。
効果から考えると、ダイエット目的でこれらの薬を使うのは、誤りとは言えません。
ただし、問題があります。副作用のことです。
GLP-1受容体作動薬の副作用として多いのは嘔気や嘔吐などの消化器症状です。頻度は薬剤により多少異なりますが、15-20%と少なくありません。また、非常にマレとされていますが、膵炎のリスクがあります。膵炎は、起こると非常にやっかいな病気で、命にかかわることもあります。
SGLT阻害薬は、10-15%の尿路感染症の合併症があります。また、マレですがケトアシドーシス(ケトン体が増えて血液が酸性に傾いた状態)になり、命にかかわることもあります。
一般には、これらの副作用は、それ程重篤になる例は少なく、適切な対応をすれば、あまり問題になることはないと思います。
ただ、「適切な対応・処置を行えば」の話です。
正直、自費診療を行っている美容外科や美容皮膚科等で、はたしてどのくらいの医師が、糖尿病やこれらの薬のことを理解した上で処方しているのか、はなはだ疑問です。最近では直美という言葉も知られるようになりましたが、美容の世界では、びっくりするくらい、内科や外科の常識的な知識・経験を得ずに治療を行っている医師が少なくありません。これらの医師が副作用に対して適切に対応できるとは到底思えないのです。
実際、これらの薬の副作用が生じて、処方した医師が対処できずに、放り出して、一般の内科の医師が対処した、という話があります。また、直接患者さんを診察せず、web上で遠隔で話だけして薬を処方しているという話もあり、そのような場合、副作用を生じた場合、対処が出来ません。
あまりに無責任な話ですし、一歩間違えると命にかかわることもあり、非常に危険なことと思います。
費用や安易な気持ちで、クリニックを選び、これらの薬を使うと、場合によっては、とんでもないことになるかもしれません。
少なくとも、対処がキッチリとできるクリニックで処方を受けるべきでしょう(医師の経歴を見れば、だいたい分かると思います)。
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