シミの種類と治療指針(2)~肝斑について

(3)肝斑(かんぱん)

(特徴)

比較的均一で色むらが少なく、境界も明らかな事が多いシミです。典型的には、両頬にありますが、片側のこともありますし、必ずしも頬のみではありません。色調は、茶色~焦げ茶ですが、色の濃さは、非常に薄いものから濃いものまで様々です。また、同時に末梢血管の拡張もよく見られます。

(治療法)

原則的に、内服と外用治療が主になります。最近では、レーザー治療(レーザートーニング)も広くされていますが、レーザー治療単独では、あまり効果が期待出来ません。また、肝斑に対するレーザー治療に対して批判的な意見を持つ医師もおり、医師の間でも意見が分かれています。
肝斑は、残念ながら、まだ、完全に治療法が確立しておりません。そのような現状の中、ある意味、最も重要なのがスキンケアになります(以下を参照ください)。

1)スキンケア

肝斑を悪化させる最も大きな要因としては、肌をこすることが挙げられます。いかに肌をこすらないようにするかが、非常に重要になります。
洗顔時、メイク時、メイクを落とす時など、肌をこすりやすい状況というのは日常的にあり、気をつけないと、すぐに肌をこすり、それが肝斑の原因になります。
洗顔の際、洗顔剤でゴシゴシせずに肌になじませるように置き、十分にすすぐことです(もちろん、ゴシゴシは厳禁)。
メイク時も、パフなどで、こするように付けるのは、絶対に止めましょう。イメージとしては、軽く押さえてなじませるようにメイクすることだと思います。
メイクを落とす時も、もちろん気をつける必要があります。拭き取りタイプは、手軽ですが、肌をこすることにつながるので、お勧めできないです。

普段使用するスキンケア用品としては、レチノールが配合されたもの(オバジのZO製品やエンビロンのスキンケア用品など)やビタミンCのローションなどがお勧めです。

2)内服治療(飲み薬の治療)ビタミンC,E,トラネキサム酸

内服治療としては、ビタミンC, E, トラネキサム酸が使用され、肝斑治療の中で最も推奨されます。ただし、これだけでは不十分なケースも多く、他の治療を併用する必要があります。

3)外用治療(塗り薬の治療)

外用は、日光性黒子(老人性色素斑)の項でも記載しておりますので、そちらの方もご参照頂ければと思います。

(Ⅰ)トレチノイン・ハイドロキノン療法(又は、オバジのZOスキンプログラム)
この治療の利点は、トレチノインの作用により、肌の弾力性が増すため、シミの改善のみでなく、肌のキメやしわの改善も同時に行うことができるため、アンチエイジングの対策にもなります。
欠点は、塗ると肌の赤みやカサツキが強く起こり、少なくとも2ヵ月程度は行う必要があるため、人知れず行うということが無理なので、行うことが出来る人を選ぶ治療であることです。
(Ⅱ)ハイドロキノン、ビタミンC、トラネキサム酸など
ハイドロキノンの外用は、肝斑の場合、それ程効果が高くなく、他の治療と併用する必要があります。
ビタミンCやトラネキサム酸の外用は、ハイドロキノンに比べると、効果は落ちるため、ハイドロキノンが使用できない方(かぶれなど)に用いたり、日常のスキンケア(悪化防止)として使用したりします。
(Ⅲ)超音波・イオン導入
ビタミンAは肌の代謝を上げ、ビタミンCには、メラニンを抑える効果がありますので、エンビロンフェイシャルトリートメントのようなビタミンA・C超音波・イオン導入を定期的に行うのも有効だと思います。

4)レーザー関連

(Ⅰ)レーザートーニング
肌から一定の距離をおいてQスイッチレーザー(あるいは、ピコレーザー)を弱く照射する方法です。
肝斑に効果があると、一気に広まった方法ですが、全ての方に効果があるわけではなく、逆に悪化する例も報告されており、限定的な効果と考えられます。レーザー治療単独では効果が期待出来ず、外用治療や内服治療の補助として行うべきと考えます。
(Ⅱ)光治療器/IPL(ライムライト、フォトフェイシャルなど)
光治療器は、肝斑に対しては、効果があまり期待出来ないので、肝斑に対する単独治療はお勧めできないです。他のシミ(例えば日光性黒子)と肝斑が混在している場合、肝斑以外のシミ治療目的で行う場合はあります。

レーザー治療や光治療は、行う術者によって、効果やトラブルの頻度が異なります。よく、最新のレーザー機器を使用していると宣伝しているクリニックもありますが、特に肝斑のある方は、レーザー関連はトラブルを生じやすく、どの機器で治療するか、が重要ではなく、誰に治療をしてもらうか、が重要です。スタッフ任せで、診察もせず、治療もスタッフが行うクリニックもあるようですが、そのようなクリニックは絶対に避けた方がよいと思います。

杉本 庸

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